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乾いたらすこし優しくなれるかな 吊るした柿に小指しのばす
稲村です。今日は12月に開かれるオフ大会「女神杯 Terra」「女神杯 Sol」の対戦マップである「ダブルハート」と「闇神の神殿(くらおがみのしんでん)」について考えてみようと思います。
ダブルハートの原型となったマップは、「カルドセプトDS」公式全国大会優勝者のかむいまるさんが作成された「二心」です。二心はDS版・3DS版に収録されています。様々な対戦会で採用され、カルドセプトのユーザーコミュニティにおいては広く親しまれてきたマップといえます。
DS版と3DS版の二心は、ショップの品揃えが異なるものの、マップ形状・土地の属性・土地価値は同じです。ただし当然カードプール・ゲームバランスが両作品では全く異なるため、DS版と3DS版においてはかなり違うゲーム展開になることが多く、それぞれのゲーム構造に即した戦略・戦術が取られてきました。
さて、二心は、カルドセプトビギンズにおいては「ダブルハート」と名前を変えてリメイク収録されることになりました。
ここでまず考えてみたいのは、二心とダブルハートは「どのくらい」同じ/似ているマップなのか?ということです。具体的には「マップの仕様」「ゲームバランス」の変更によって、どのような違いがもたらされているのかを考えてみます。
【マップの仕様上、二心とダブルハートに共通する点】
◎マップの基本的な形状(土地の数、土地の属性、特殊地形の位置など)
【マップの仕様上、二心とダブルハートで異なる点】
◎過去作では「無属性土地」だった8マスがすべて「モーフ土地」に変更されている
◎28個すべての土地価値が100Gに統一変更されている(過去作では無属性土地のみ100G、属性土地は80G)
◎ショップの品揃えが刷新されている
また、マップの仕様以外においても、カルドセプトビギンズにおいては過去作と比較して多くのシステム・バランス変更が加えられています。具体的には
◎ブックが50枚構成から40枚構成になった
◎連鎖倍率の仕様が変更された
◎素ダイスで1~8が出るようになった(城から素ダイスで転送円ショートカットできる可能性が生まれた)
◎周回ボーナスが増額された
◎砦ボーナスが増額された
◎ゲーム全体として達成Rが短縮された
◎その他、全体的なカードバランス・カードプールが変更・刷新された
などが、ダブルハートにおいても影響の大きい要素として挙げられるところです。
これらの点を踏まえ、私としてははっきりと「二心とダブルハートは、まったくもって完全に別のマップである。したがって過去作とは全く異なる戦略・戦術が求められる」と考えています。
もちろんマップのおおまかな形状など、過去作の二心において使えたテクニックを流用できる部分がないわけではありません。
外部リンク : カルドセプトラボ【マップ攻略】ダブルハートの周回方法を徹底解説! | カルドセプトラボ本記事ではマップ「ダブルハート」の周回について解説していきます! 本マップは周回の仕方によって、1周にかかる時間が大幅に変わります。短時間で周回するメリットを把...
ヨシさんのこの記事では、ダブルハートにおける周回テクニックの基礎的解説が分かりやすくまとめられています。また、DS版や3DS版の攻略記事などから、過去作でどのような周回テクニックが用いられていたかを参照することもできるかもしれません。
しかしながら、テクニックはあくまでテクニックであり、ゲームプレイにおける一つの手法に過ぎません。
テクニック:ブック・プレイング構築に沿って、理論上打つことのできる選択肢
セオリー:対戦において優位をとりやすい選択肢
と区別したときに、カルドセプトビギンズ全般において、私は「過去作から流用できる【テクニック】はいくつもある。しかし、過去作から流用できる【対戦のセオリー】はほぼ存在しない」と明確に考えています。
そう断言するほど、今作のゲームバランス・ゲーム構造は過去作と大きく乖離しています。「過去作で強かったブック・プレイング」を再編することなく今作にそのままトレースして高い対戦成績を上げているプレイヤーは、おそらくほぼいないのではないでしょうか。現在の対戦環境で結果を出されているプレイヤーの皆さんは、全員、今作特有のゲーム性・ゲーム構造に根差した構築に取り組んでいるからこそ、高い戦績を出しているのだと思っています。
ダブルハートと二心の比較においても、「土地価値の変更」や「無属性土地からモーフ土地への変更」といったマップ自体の変更点も相まって、ゲーム性の違いはより一層顕著となると考えられます。
具体的な例として、土地の強弱の話を取り上げてみます。
マップ上の強い土地・弱い土地を考えるときの指標には、たとえば次のものが挙げられます。
◎土地の基本価値が高いか
◎通行料の期待値が高いか
◎達成リーチに有用な領地開発機会を得やすいか
◎定点停止スペルなどのダイスコントロールによって、意図して確保しやすいか(狙って侵略しやすいか)
◎LV1の状態で維持しやすいか(侵略されにくいか)
火①②③・水⑳㉑㉒の土地を例にとります(番号については、記事上部のマップ画像をご参照ください)。
3DS版の二心において、この6カ所の土地は戦略上
◎25Rあるいは30R以上かかるゲームにおいて、通行料が期待できる
◎複数人が火・水同士で色被りしたときに、戦闘が発生しやすい
といった特徴を持っていました。
今作のダブルハートにおいて、これらの特徴はほぼ消滅しており、別の性質を持った土地になっていると私は考えます。
マジックブーストは存在せず、土地価値はモーフ土地と同じ100Gです。
通行料に関しても、3DS版二心よりも5~10R程度(あるいはそれ以上)早く終わるゲームであれば、特定の土地を通過する回数もそれだけ少なくなります。少なくとも過去作と同程度の通行料期待を見積ることは不可能です。
また2人程度の色被りであれば、城からのダイスが重なった時に「内周のモーフ土地に進む」という選択肢がとりやすくなっています。進路選択によって生じるトレードオフから「状況・時間帯による防御」が成立しやすくなっているとも考えられます。
このように、ゲーム条件の変化によって、全ての土地について、性質あるいは強弱の評価は見直す必要が生じます。こうした検討を積み重ねたうえで、繰り返しになりますが、「過去作における二心のプレイング感覚を引きずると、ほぼ確実に自滅するマップ」であると私は考えています。
カルドセプト全般において「構築」とは
ブック構築:ブックにおける40枚のカード選定
プレイング構築:勝ちに向かうためのプレイ指針を組み立て、実戦におけるプレイ選択に落とし込むこと
を一体的に捉えたものと考えます。
現時点における自分の実戦感覚や様々なプレイヤーのブック・プレイングを観察・照合し、私としてはダブルハートにおける構築アプローチの類型を次のように整理しています。
A:マップ特有の現象や構造ではなく、カード単体の機能や、カード間の相性に基づいて優位をとろうとする構築
勝ちづらい。ただし特定の盤面力学やカードゲーム相性によって勝てることもある
B:過去作における「二心」のブック・プレイングを基礎とした構築
勝ちづらい。ビギンズ特有のゲーム構造と、ダブルハート特有のマップ性質に沿って構築を見直した方がよいと考えられる
C:内周ルートを最優先し、転送円ショートカットとモーフ土地の確保による優位をとろうとする構築
周回加速によって優位をとって勝てることはある。ただし、主にダイスの結果として転送円ショートカットできない/土地がとれないといった時にサブプランに移行しづらい
D:1周目は外周ルートから入ってクリーチャー配置を積極的に行い、2周目以降で内周ルートに切替えて加速する構築
実戦のおける一定の勝ちやすさがある。ただしどちらかといえば「初見殺し戦術」に近い。ABCにはほぼ勝てるが、D同士が同居したときにダイス・ドロー運で勝敗が決まるゲームになりやすく、Eには優位をとりづらい
E:内周ルートからの転送円ショートカットを狙いつつ、パーミッション等を採用して、必要に応じてアドリブで動く構築
ABには勝ちやすい。Dとも互角以上に戦えるが、上振れしたCに負けることがある
ここでいう「アドリブ」には、おおまかに次の3つの意味が含まれます。
(1)歩き方の柔軟性(例:侵略力の強いブックに内周を制圧されてしまった時に、パーミッションを握ったまま外周に歩き出す)
(2)盤面や要素に応じた達成系、達成アクションの柔軟性(例:内周を歩きながら風の⑲土地のレベルを上げて達成リーチをかけ、砦を通過せずに入城達成する)
(3)ショップにいつ寄って何を補充するかの柔軟性(例:1回だけ高LV土地を守れればいいという状況で、ショップでカタパルトを買う)
なお例に挙げたプレイングはあくまで「そういう手を選択しうる」という話に過ぎません。カルドセプトは選択と意思表示のゲームであると私は考えます。なおかつ、自身の選択・意思表示の指標となる情報は常に不完全な状態でしか提示されていません。4人のダイスがどう出るか、4人のブック内から次に何のカードが引かれるか分からない状態で、限られた情報と自身の予測を頼りに、能動的な選択と意思決定を行うことにこそ、カルドセプト対戦の面白さが詰まっていると私は考えています。したがって、例示したようなプレイについて、あらゆるゲーム状況に当てはめて「強い手/弱い手」といった評価をすることはとても困難です。アドリブによる選択肢の幅を確保しやすいブック構築・しづらいブック構築があることは事実ですが、アドリブ性を持った個別のプレイングについては、構築あるいはその構築を動かすプレイヤー自身が探っていく必要があります。
上述したA~Eの構築のうち、どれが最も強い(勝ちやすい)かを、特定の対戦環境にあてはめて結論づけることはできません。大会など、一発勝負の場においては人読み・メタゲームの要素がより支配的になるとも考えられます。その上で、私としては
◎A~Bの構築アプローチはかなり難しい
◎C~Eの構築アプローチのうち、進路選択を含めたプレイングの自由度を最も担保しやすいのはE
◎ただしC~Eのうち、実戦においてEが最も勝ちやすいとは言えない
◎クリーチャーのコスト・性能あるいはマップ上の土地の位置関係などから、4属性それぞれにおいて、どの構築アプローチをとりやすいかといった条件は異なる
◎A~Eの5類型に当てはまらない、新しい戦型が生まれる可能性もある
と考えています。
更に踏み込むならば、現時点においては、私はEのブック・プレイング構築を最も重視しています。ダブルハートの対戦においては
◎対戦ごとに、混み合うルート・混み合う土地・LVを上げることが勝利に貢献しやすい土地などが毎回変わる
◎したがって、盤面状況に応じて、アドリブ・柔軟性をもったプレイングを行う必要がある
◎アドリブ性の確保のしやすさは、ブック構築時点で大きく分かれる
と考えているからです。
多くの方が二心に強い思い入れ・愛着を抱いていらっしゃるように、私にとっても、二心は思い出深く、大好きなマップのひとつです。過去作の名マップが名称を変えてリメイク収録されたこと自体が、そうした人気の高さを裏づけるものとも想像されます。
私自身は二心とダブルハートは、攻略・検討において全く別のものとして捉えた上で、呼び名も区別していますが、多くの方がダブルハートのことを二心と呼び親しんでいることも、それ自体、ハートフルな出来事であるようにも感じています。
ビギンズ特有のゲーム構造を軸とした、ダブルハートにおける新たな戦略・戦術が交差し、ぶつかり合う瞬間に立ち会えたら最高だなと思います。
カルドセプト部のオンライン対戦コミュニティにおいて、護符マップが取り上げられることはほぼ初めてのことと思います。護符マップをどのようにプレイしたらいいのか分からないという方もいらっしゃるかもしれません。
護符システム及び護符マップ特有にみられる戦略・戦術は、直感的にやや分かりづらく、「知らないプレイヤーに対して一方的に優位を取る」ゲームになりやすい傾向があります。したがって、護符マップで勝つためには「護符の基本的な仕様」「ビギンズにおける護符の扱い方」をある程度理解し、ブック・プレイングに落とし込んでおく必要があります。
まず、護符関連カードのラインナップはひとまず置いておくとして、今作における護符そのものの基本的な仕様は、ほぼ過去作(セカンド・サーガ・DS・3DS等)と同じです。
ただしここでも、ダブルハートと同様に「全体のゲームバランス・構造が大きく変わっているために、過去作におけるセオリーをそのまま持ち込むと自滅する」という問題が生じます。
今作における護符マップへのアプローチについては、ヨシさんの記事に詳しく、精緻にまとめられています。闇神の神殿を検討するにあたってはぜひご一読されることをお勧めします。
外部リンク : カルドセプトラボ【マップ解説】闇神の神殿 護符は買いすぎ厳禁! 適正枚数を早見表で解説 | カルドセプトラボ外部リンク : カルドセプトラボ【カルドセプトビギンズ】護符って何? 基本のキを徹底解説! | カルドセプトラボ護符の性質は多岐に渡りますが、実戦上影響の大きい性質としては、おおむね次のものなどが挙げられます。
◎自分の属性の護符を買って土地のLVを上げると、護符価値が上がるので、一度の増資で総資産をさらに増やすことができる
◎相手の属性の護符を買うと、相手の増資行動などによって自分の総資産が増えるが、相手の行動に依存するため、任意のタイミングにおける資産増幅を行いづらい
◎護符の枚数を多く確保しすぎると、自分の増資行動が遅れる。また総資産の増加量が目標魔力に対して過多になりやすい
◎連鎖が確保できていれば、増資行動による土地資産の増加量>護符価値の上昇による護符資産の増加量となりやすい。したがって、価値の上がった護符を売らないプレイングは、護符の持つ資産的価値を最大限に活用できていない
護符マップにおける護符の買い方・売り方に関して、プレイ選択肢そのものは無数に存在します。ここでは闇神の神殿において「自分が護符を買う」という前提に立った上で、次の4つの選択肢を例示しながら考えてみます。
①自分の属性の護符を15~35枚程度買う。増資と連鎖形成を絡めて護符価値を上げた状態で、護符を一定枚数売る。護符を売って得た魔力を使って別の土地に増資することで達成リーチをかける
②自分の属性の護符を15~25枚程度買う。聖堂を再度通るタイミングがあれば、相手の属性の護符を5~15枚程度買う。自分でも増資しつつ、相手の増資によって総資産の底上げを図る。最終的にどちらかの種類の護符を売りながら土地への再増資をすることで達成リーチをかける
③他プレイヤーの属性の護符を40~60枚程度買う。自分の属性の土地は護符を買わずに増資する。護符なしでの増資もしくは相手の増資によって総資産を増やして達成アクションをとる
④自分の属性の護符を60枚程度買う。護符枚数を確保するまでは増資を行わず、配置・連鎖形成を優先する。5連鎖を確保した状態でLV1土地を一気にLV5にして達成リーチをかける
上述したような性質に沿って、これら4つの戦法を評価してみます。
まず最もスタンダードかつ速度を出しやすい戦法は①②です。無理のない枚数の護符を買い、自分の行動によって護符価値を上げること、護符を売って土地に再増資することでスムーズに達成に向かうことができます。
③は盤面状況や対戦相手によって強力に作用することはありますが、護符価値が上昇するタイミングを自分で制御できない点が大きなネックとなります。
④の強みは「土地が確保できていない状態でも、干渉されにくい資産としての護符を多く購入しておくことで、達成に向かう手順を進めることができる」「増資を一度に行うことで、達成リーチから入城までの時間的猶予を極端に短くすることができる」といった点にあります。ただし、基本的な達成スピードが遅くなりやすい点、護符売却を交えた達成アクションをとることができない点、特定の護符対策カードが致命傷になりやすい点などが大きな弱点となります。
なお、これらの評価はおおむね一般論に留まるということも付記しておきます。実際の対戦においては、自分と相手の配置状況・4人のブックの属性・ゲーム中に提示されるコントロール要素(コラプション・アンホーリーグラスプ・ローカスト等)などによっても大きく変動します。カルドセプトにおいて全く同じゲーム状況はほぼ存在しないため、盤面状況に応じた臨機応変なプラン修正をとれることが望ましいところです(あるいは、自分にとって不利な要素を除去する、クリーチャー戦闘による優位をとるといったブック構築も考えられます)。
いずれにしても、闇神の神殿を含む護符マップにおいては、適切に護符を利用することで、護符を利用しないゲームよりも、ほぼ確実に達成Rを早めることができます。
今作の護符マップにおける検討は、ヨシさんの記事にまとめられているように、理論的な基礎についてはほぼ言語化されているといっても差支えありません。ただし、実戦におけるダイナミズムがどのように進展・変動していくかは、まだまだ未知数の部分があります。これから対戦が重ねられていく中で、多様な戦法や更なる考察が提示されていくのではないかと思います。
「基本を押さえていないプレイヤーが一方的に振り落とされる」ゲームの存在を否定するものではありませんが(それも含めての実力ということもできるかもしれません)、今作における護符ゲームの構造を踏まえた上で、4人戦ならではの駆引き・攻防がみられるようなゲームが展開されていくことを、とても楽しみにしています。
「女神杯 Terra」「女神杯 Sol」については、私自身、両日とも参加予定です。対戦そのものに加えて、日頃ご一緒させていただいている大好きなプレイヤー(あなたのことです!)とお会いできることを、心から楽しみにしています。
「稲村は話が長そう」と思っていませんか。私はあなたの話をぜひ聞きたいです。
引き続き対戦宜しくお願いします!
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