READ:シーダモにおけるブックフレームとプレイング構築を考える
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稲村です。秋は新米の季節ですね!収穫の秋とも言われます。「新米」も「収穫」も「し」から始まるので、同じく「し」から始まるシーダモの話をしてみようと思います。
「シーダモの港」(以下、シーダモ)の特徴としては
◎パーミッションを採用できるマップである(パーミッションを使用することで、周回に必要な歩数を14歩短縮することができる)
◎パーミッションの使用も含めて、城からの進行方向を比較的自由に選ぶことができるが、一度ルートを選ぶと次のルート選択まで一本道を進むことになる(最大13歩)
◎リコールを使用しなくても、城から3つの進行方向を選ぶことができる(どの属性でも、周回ボーナスを得ながらの増資がしやすい)
◎空き土地の数が22と比較的少ない(1人あたり平均5.5個)
◎属性ごとの土地の数が均一ではない。火・水の土地は地・風の土地より1つずつ多い
◎火・水の土地は占い館を間に挟んで3つずつ並んでいる。地・風の土地は片側の円環に5つ並んで存在している。地形変化を介さずに、左右のルートに同じ属性の土地を確保することはできない
◎占い館が左右のルートに1つずつ、計2つある
などがあります。
これらの事実から、「どのようなゲーム構造になりやすいか」「どのような戦略が有効か」を直感的、かつ統合的に導くことはなかなか困難なように見受けられます。
たとえば、「パーミッションで周回を短縮するのが強い」とまず考えるなら、パーミッションを2~4枚採用するところから構築を組み立てることになります。
少ない土地をクリーチャー攻防で争うことや、高額地奪取あるいは通行料に比重が置かれると考えるのであれば、戦闘に関係するカードを手厚く採用することになります(ATの出せるクリーチャー、アイテム、土地呪いスペルなど)。
火ブックや水ブックが土地数の面で有利であることを高く評価するなら、火/水ブックが相対的に多いことを前提にした優位性の取り方を考えることになります(ファイアービーク・イエティあるいはスケアストーム・アルマゲドンの採用など)。
周回ボーナスで大量の魔力が供給されうることに着目し、達成タイミングを見据えたゲーム進行や細部の駆引きが重要であると考えるのであれば、4属性シフトなどを使った自分の資産形成だけでなく、クインテッセンス・LVダウンスペル・ダメージスペル・クイックサンド・手札干渉などを採用するというアプローチも考えられます。
このように、多様な戦略に基づく多様なゲームが現出しやすい「読めないマップ」であるということが、もしかしたら言えるのかもしれません。少なくとも私は当初、そのように考えていました。
ここで重要なのは「全ての要素を手厚く確保することはできない」ということです。40枚のブック構築において、土地制圧も、スペル干渉も、高速周回あるいはそれ以外の要素も、すべてを質・量ともに万全に確保することはできません。
このような前提に立った時に、おおむね考えられるアプローチとしては
◎各戦略のうちどれが最も「勝ちやすい」か、数字あるいはプレイングの面で比較検証した上で、最も優位であると考えられる要素に特化させる
◎自分が想定する対戦環境に適合的な要素を導き、ブック相性で優位性を得る
◎複数の要素を持ったカードを1~2枚ずつブックに採用し、平均出力を高めながら相性差を緩和する(バランス型戦術)
などが挙げられるところです。
私はふだん、複数人のチームでカルドセプトの検討をしています。チーム内でシーダモの検討をするにあたってまず考えたことの一つは「パーミッションを何枚入れるのが良いか(パーミッションは本当に有用なのか?)」ということでした。
「パーミッションを採用できる」ということは、他マップと比べたときのシーダモの大きな特徴の一つですので、まずは「シーダモにおいて、パーミッションはどのような効果・有用性を持ちうるか」ということに着目して、話を進めていくことにします。
シーダモにおいて、パーミッションを採用した場合、たとえば次の効果を得ることができます。
◎周回に必要な歩数を14歩短縮し、周回ボーナスを相対的に多く獲得することができる
次の2つの表は、シーダモにおいて
「パーミッションの使用回数に応じて、周回に必要な歩数がどのように短縮されるか」
「パーミッションの使用回数などに応じて、周回ボーナスをゲーム中に何回獲得できるか」
を試算したものです。
このように、パーミッションを使うことで周回ボーナスの獲得回数を1~3回程度増やすことができるため、最も周回ボーナスの獲得回数増加に貢献しやすいカード手段としてパーミッションを評価することができます。他カードとの組み合わせも含めると、たとえばパーミッションをエスケープ・シャドウリープなどと組み合わせると、最短2Rで周回することができます(なおパーミッション単体でも2Rで周回できることはあります)。
領地を5つ持っている場合、4回目の周回ボーナスは900G、5回目は1,000G、6回目は1,100Gとなります。多くのケースで、元々の手持ち魔力と合わせてLV5を一度に作ることができるので、3~5連鎖が組めていれば、総資産を一気に増やして達成に近づくことができます。
なお、周回ボーナスによる獲得魔力は周回数・領地数に応じて変動すること、パーミッションを採用する分他のカードの採用枠及び使用機会を失っていること、パーミッション自体の使用コストが発生することなどを考慮すると、具体的な収入額の単純比較がやや困難であることも付記しておきます。
また、上記の表のケース①~⑥においては、おおむね11回程度、パーミッションや足スペルを使用した場合の歩数を試算していますが、このようなスペル使用(採用)が、自身の手札状況やゲーム全体に及ぼす影響については、いったん無視した上でモデルケース化しています。
またこの他にも、パーミッションには次のような効果を見出すことができます。
◎周回数を増やすことで、マナの効果を上げる(4周目なら400G、5周目なら500G)
◎周回ルートをより柔軟に選択できる。例として「ゲーム中に通過したい土地をより多く通過する」「高額地踏みを回避しながら片側のルートだけで周回する」といった手が打てるようになる
◎自分にとって必要なタイミングで手持ち魔力を増やすことができる(干渉手段が途切れた状況で瞬間的に加速する、他プレイヤーの速度に強引に追いつくなど)
◎周回ボーナスの獲得タイミングをある程度ゲーム中に分散させることで、魔力が足りずダイスを振るしかない時間の生じるリスクを減らすことができる
◎周回ボーナス獲得と併せてクリーチャーのHP10回復が発生するため、ダメージスペルや戦闘による被害状況を軽減することができる
◎「周回数」という可視化されづらく、それ自体は他者から干渉されない、また終盤にかけて強くなる資産を蓄積・形成することができる
他方、パーミッションを40枚のブック枠の中に複数枚採用することで生じるリスクやデメリットについても考えてみます。
◎手札の管理が難しくなる。パーミッションはいつ撃っても周回短縮につながるわけではない。有効に使うためには手札に抱えなければいけない時間帯がある程度生じる
◎進行方向は選べても、ダイスそのものの出目を操作しているわけではない。ダイスによっては有効な手が打てない時間帯が生じる、高額通行料を支払うなどの可能性も生じる
◎採用する時点で、他の要素を削ることになりやすい(定点停止・クリーチャーやアイテムによる攻防・スペル干渉など)
上記の内容を踏まえた上で、チーム内で、パーミッションの採用枚数の違いを含めた、様々なブックを試行しながら検証を進めることになりました。
特に検討上の変数として着目していたカードは、例えば次のものなどです。
「パーミッションの枚数(0~4)」
「マナの枚数(0~4)」
「テレグノーシスの枚数(0~1)」
「エスケープ・シャドウリープの枚数(0~3)」
「フライ/ホーリーワード系スペルの枚数(0~8)」
「ドレインマジックの枚数(0~2)」
「セフトの枚数(0~3)」
「ギフトの枚数(0~4)」
「リンカネーションの枚数(0~4)」
「ホープの枚数(0~2)」
「ファインドの枚数(0~2)」
変数が多くなる理由としては、ブックの枚数は必ず40枚にする必要があるということが挙げられます。パーミッションの枚数を調整するにあたっては、他の要素の差引きが必ず発生します。またその影響がブック全体に強く及ぶ場合、ドロー手段も含めたクリーチャー・アイテム・スペルの枚数比を調整する必要も生じます。クリーチャーについては11~18枚程度、アイテムは2~7枚程度、スペルは18~25枚程度の間で検討を試みました。
またこれ以外のアプローチとしても、イビルブラスト・テンペスト・スケアストーム・アルマゲドン・アンチエレメント・シニリティ・クイックサンド・フットレース・メテオ・ローカストなどのカードを1~7枚程度採用した型の検討も並行して行っています。
プレイングの面では
「領地開発ターンを使って自力地変を行うことが、どのようにゲームの進展や勝敗結果に影響するか」
「通行料収入によって決するゲームがどの程度生じるか」
「高額地奪取の機会はどの程度生じるか、またそれは勝敗に結びついたか」
「スペル使用回数の多寡はどの程度勝敗に影響するか」
などを観察・検証しました。
検証過程においては「パーミッション3・マナ3採用の型は、パーミッション4枚の型に比べて手札の取扱いがしやすく、比較的どんな状況でも安定的に魔力を確保しやすいと言える」といった知見を得ることができました。
その上で、複数の対戦結果の「録画データ」「対戦レコード(周回ボーナス・スペル使用回数・増幅グラフなど)」などを元に、おおむね次のような観察結果を得ることができました(なお検証サンプルとしては、チーム内対戦・CPU対戦・フリーのオンライン対戦などを扱っていますが、1000を超えるようなサンプルデータを収集しているわけではないので、統計的データに基づく結論というよりは、観察に基づく認知の現れといえます)。
◎パーミッションを3~4回使った場合、おおむね15~18R程度で達成できる。パーミッションがない場合は達成が遅くなりやすい
◎パーミッションを行使した回数の多寡(周回ボーナスの総獲得額)が、対戦結果を大きく左右している
◎ギフトを有効に使った回数の多寡も、対戦結果にそれなりに影響している
◎ゲーム全体を通じて、手札の清算効率や取捨選択の判断が強く問われる局面が多い
◎パーミッションをいつまでに何枚引いてくるかによって、魔力収入に著しいブレが生じる
◎パーミッションを複数回引き、有効に使うためには、ドロー手段を欠くことはできない
◎パーミッションや足スペルが一定程度採用されているブック同士の対戦では、通行料収入がゲームを決することはさほど多くない
◎高額地陥落などの侵略要素を有効に働かせることができるかどうかは、ブック相性・相手の資産状況・配置・ダイス運などに大きく左右される
◎イビルブラスト+アルマゲドン、スケアストーム+サムライのような挟み込みの手法は、きわめて強力に働くこともある一方で、相性で対処されてしまうケースや、干渉相手を選びづらいケースも頻出する
さて、「パーミッションの使用回数が対戦結果に大きく影響している可能性が高い」という前提に立った上で、「パーミッションの使用回数=周回ボーナスによる魔力収入の大きなブレをどのように制御しうるか」という問いが生じます。
パーミッションを有効に使うためには
①パーミッションを安定して引くこと
②パーミッションを無理なく手札に持てる状況を作ること
が必要と考えられます。
②については、
「クリーチャー単体の性能や呪いスペルによる攻防性能を高める(ブックの構築段階で、アイテムを手札に抱える必要性を軽減する)」
「他のカードの手離れの良さを重視する(マナ、フライ等比較的いつでも使えるカードを多く採用する)」
「ゲーム中の判断で補う(そのゲームにおいて不要/有効に機能しないと思われるカードは捨てる)」
等、いくつかの解決策が考えられますが、①については、ドロー手段を一定以上ブックに搭載し、有効に使うことが必須にしてほぼ唯一の解決策と言えます。
なお過去作でみられたような「別の要素で時間を稼ぎながら、ドローを待つ」という手法が全く成立しないとは言い切れませんが、ビギンズの現時点の主要レギュレーション(25R、8000G)においてはきわめて困難なアプローチであると私は考えています。その理由としては
「干渉要素が一定以上なければ最短12~15R程度で終了するゲームにおいて、相対的には〈自分も加速する〉という手が複数プレイヤーにおいて選択されやすく、結果的に干渉が追いつかない」
「単一の抑圧手段のみでは、耐性を持ったカードで対処されてしまうことが多い。複数のカード手段による挟み込み(イビルブラスト+アルマゲドン、シニリティ+ドレインマジック等)も考えられるが、手札に保持し続けることのリスクも大きくなりやすい」
「ゲーム全体における試行回数が少なくなりやすく、強力な干渉要素(シニリティ等)を決める機会が限定的である(ダイス運にも大きく左右される)」
などが挙げられるところです。
では、「シーダモにおいて超強力なカード」であるパーミッションを安定して引くために、どのようなドロー手段を、どの程度ブックに採用するのが良いでしょうか?
私たちの検討においては、ファインドでは多くの場合うまくいきませんでした。手札管理のシビアさも一層増すことになります。
フォーサイトも有効に使える局面はありますが、40枚の限られた枠の中で、ギフトやリンカネーションよりも優先して枠を割くことは難しいと判断しました。
ホープについても、総じてギフトより使いづらい場面が多く、優先順位は高くないと判断しました(なお、ギフトを4枚採用した上で5枚目以降のドロー手段として採用できる可能性はあります)。
プロフェシーは特定のクリーチャーやアイテムを引くために機能することはあっても、パーミッションを引くために機能させることは難しいと考えられます。またマップに占い館が2つあり、マップで補完しうるという点も踏まえて、今回は棄却しました(仮にパーミッション以外のスペル採用を極端に減らした場合、プロフェシーでパーミッションを引ける確率を上げることはできますが、その分他のスペルの使用機会を大きく削ることになり、上手くいかない可能性が高いと現時点では考えています)。
残る選択肢として、ギフト・リンカネーション(+フェイト・四属性ドロースペル)を何枚採用するか、という話になります。ギフトとリンカネーションは相補的に働くため、両方をブックに採用すること自体には、さほど無理は生じません。ただしここで「ギフトを有効に使うためには、その時点の順位が下位である必要がある」という問題が生じます。
したがって、単にギフト・リンカネーションの枚数を増やすだけではなく、ギフトを有効に使ってパーミッションを含むドロー枚数を多く確保するようなプレイング構築を図る必要が生じることになります。
ドローの質的確保・量的確保の両方が求められる今作において、ギフトはきわめて強力なカードの一つです。シーダモに限らず、カルドセプトビギンズ全体のゲーム構造を形成している要素の一つとも言えますので、ここで少しシーダモから離れて、カルドセプトビギンズのゲーム構造において、「ギフトの効率を高めること」と「勝負に絡むこと」はどのように作用しあっているか、またどのように両立しうるかについて考えてみることとします。
カルドセプトビギンズの対戦において、次のような場面に直面した(あるいは立ち会った)ことはありますか?チェックリスト形式にしてみたので、ぜひ心の中で再チェックしてみてください(個人的な判断に基づき、チェックボックス自体は全て埋めてあります)
☑ 先行してクリーチャーを配置できたが、コローシブスピア侵略で奪われた
☑ 先行してLVを上げたが、誰にも踏んでもらえず、ギフトで1枚しか引けない時間帯が続いてジリ貧になった
☑ 先行してLVを上げたが、強力な高額地陥落要素が登場して高額地を奪われた
☑ テンポ良くカードを使用して配置やLVアップを行えたが、手札干渉や侵略を受けて手札が空っぽになり、自分に対しても相手に対しても何もできない時間帯が生じた
☑ ファインドで手厚く防衛アイテムを確保できたが、ファインド以外のスペルを十分に使えず、周回が遅れて達成レースで負けた
☑ 達成リーチをかけてから入城するまでの数Rの間に連鎖を削られてリーチ阻止された
☑ 初手にクリーチャーを引くことができなかったが、ギフトで大量にカードを引いて追いつくことができた
☑ 最序盤のクリーチャー配置で出遅れたが、ナイトやグレートタスカー、グレムリンアムルを行使して打開することができた
☑ 3~4位の状況が続いたが、ギフトで大量にカードを引きながら連鎖を整えて、一気にLV1領地をLV5に増資することで逆転勝ちできた
もしあなたが「あるある」と感じられたのであれば(きっと感じてくれるはず!)これらは全て、カルドセプトビギンズにおいて再現性が高い現象と考える一つの証左になります。
多くの場合、事実としてのゲーム現象が先にあるわけですが、私としては同時に、「カルドセプトビギンズのゲーム構造に起因する論理的帰結」でもあると考えます。
今作のゲームバランス上、次のようなことは構造の一部として受け止める必要があると私は考えます。
◎キングバラン・グレートタスカー・ナイト・コローシブスピア等の存在によって、LV1土地の侵略(上書きの応酬)は過去作よりも起こりやすい。ギフトや周回ボーナスによって潤沢に魔力・カードが供給されること、連鎖係数のバランス変更によって連鎖数の重要性が相対的に高まっていること、ゲーム全体の試行回数が少ないことも、LV1侵略の実現可能性あるいは動機づけとして作用している
◎LV1戦闘が相対的に起こりやすいことや、強力な能力・ステータスを持った手札コストのあるカード(アビサルモナーク・ダゴン・スケアストーム等)を使用する必要性が高いことから、ドロー手段を用意し、有効に使用しなければ手札が極端に少なくなりやすい
◎絶対的な防衛性能を持ったクリーチャー・アイテム・呪いが存在しない。多種多様な干渉要素の存在によって、高額地は過去作よりも容易に陥落されうる。高額地が存在する時間帯が長ければ長いほど陥落のリスクも高まる
◎少ない試行回数の中で、自身の勝利プランの準備・進展・完成に貢献するようなスペルを継続的に使用することが求められる局面が多い(スペル使用回数の多寡・使用結果の質が勝敗に直結しやすい)
◎全体的な達成速度が速くなっており、結果として序盤/中盤/終盤というような(過去作における)フェーズではなくゲーム全体を通じて、最終局面につながる手を打つことが求められることが多い
◎その一方で、周回ボーナスによって大量の魔力が供給されることや、ギフトの存在によって、最序盤の(見た目上の)順位・配置状況がさほど問題にならないことも多い
◎序盤に強いカードと終盤に強いカードが明確に存在しており、ブック全体の平均出力(走・攻・守の効率)よりも、大量ドロー・大量ディスカードを前提とした手札の質・量の確保や、タイミングに応じた切替えが求められることが多い
◎1000G以上の魔力を抱えていても、ドレインマジックを撃たれることが致命的にならないケースが多い(ただし、2000G以上の手持ち魔力に対してはドレインマジックが勝敗を決する要素として機能することはある)
ここに列挙した内容は今作のゲームバランスのあらゆる側面を網羅するものではありませんが、対人戦において必ず考える必要がある、重要な要素であると私は考えます。
そして、これらの「全て」において、ギフトをどの程度有効に使えたか、ということが少なからず影響しているとも考えます。
また併せて、ギフトを含む今作のゲームバランスと比較したときに、過去作において重視されてきた「手順」や「効率」が、今作ではどのような意味を持っているかについても考えておきたいところです。
「手順」「効率」を重視するアプローチの一例として「走り」を取り上げてみます。過去作において強い戦術として扱われてきた「走り」は、序盤の配置や周回効率をゲーム中の中間目標としていたところがありました。この理由としては
「他プレイヤーから土地・手順に対する干渉を受ける可能性がそこまで大きくなかった」
「序中盤に得られた盤面・資産・周回速度などにおける優位性が、勝敗結果に直結するケースが多かった」
などが挙げられます。
この点、カルドセプトビギンズにおいては、先に述べたようなゲーム構造に対応する形で「(従来的な)中間目標の達成度」と「勝敗結果」の関連性がかつてないほど小さくなっていると私は考えています。
このような前提に立つと、初手の手札状況・序盤の配置・ブックの平均出力ではなく、最終的な達成状態から逆算してブック・プレイングを組み立てる必要があると考えることができます。少なくとも、従来的な意味としての「走り」をそのまま今作に持ち込むことはできないといえます。
もちろん今も「走りブック」「侵略ブック」あるいは「走・攻・守」といった概念は、ブックの一要素として残っています。ただし、プレイングと結びついた概念としては、ビギンズのゲーム構造に根ざして、新たに考え直す必要があると私は考えています。
さて、上述してきたようなゲーム構造を踏まえた上で、「ビギンズのゲーム構造に根ざして、ギフトの出力を高め、維持した上で、勝負をかけるブック・プレイング構築」とはどのようなものか考えてみます。一例として、次のような形を提示します。
◎ギフトを4枚、リンカネーションを1枚以上採用し、最終的な達成状況から逆算した達成プランの組み立て、またそのためのドローによるカードの質・量の確保・調整を図る
◎先行してLV4~LV5増資を行わない
◎自力地変を率先して行うなどして手持ち魔力を調整し、リーチの準備が整うまで下位の状態をキープする
◎序盤でLV1領地を侵略されたときに、防御アイテムを必ずしも使わない(最終的にその領地・アイテムが必要かどうかで判断する)
◎一定以上のAT要素をブックに搭載してLV1土地を侵略して奪う(取り返す)、定点停止スペルを使って空き土地にクリーチャーを配置するなどして、4~5連鎖を確保する
◎防御アイテムと1000~1500G程度の手持ち魔力を持った状態で、周回ボーナスを得ながらLV5増資を行う。次のターンに別の土地をLV5に増資して(2手で一気にリーチをかける)、干渉を差し挟む猶予を作らせずに入城達成を目指す
ただし、このようなプレイングが全てのマップ・対戦環境に共通して有効であるとは必ずしも言えません。マップによっては、ギフトの出力を落としても先行増資することが達成に向けたゲーム進展・クリーチャーの防衛強度の確保・通行料収入の可能性を高めるといった形で有効に作用することはおおいに考えられます。また特定の対戦環境(たとえば「上振れ期待を含んだ最速達成を目指すプレイヤーが多い」「干渉要素が場に少ない。最初にリーチをかけたプレイヤーを止める手段がなく、そのまま達成するゲームが多い」等)においては、やはり上記のようなプレイングでは解決しがたい可能性が考えられるところです。
さて、シーダモに話を戻します。上述してきたように、シーダモにおいては
「パーミッションがゲームの結果を大きく左右する強力なカードである可能性が高い」
「パーミッションを安定して有効に使用するためには、ギフト・リンカネーションを有効に使用することが強く求められる」
ということが示唆されています。
ここで「ギフトの出力を保ちながら一気に加速するプレイング」と「シーダモにおいて強力に機能するプレイング」が合致しているのではないか、という仮説が提示されることとなりました。
では改めて、シーダモでこのようなプレイングを可能にするブック構築とはどのようなものなのか?という話に移っていきましょう。
一緒に検討しているメンバーの一人である、16bitsさんから「ギフト4・リンカネーション3・パーミッション4の形はどうかな?」という提案があり、プレイング構築も含めて試してみた結果、メンバー一同「ものすごく良いと思う!」という暫定的な結論に至りました。
特徴的なドローエンジンを搭載したブック設計であることから、あまり今までになかった形かもしれないということで、発案者の名前をとって「16エンジン」と名づけることにしました。
16エンジンを搭載したブックをいくつか紹介します。いずれも「ギフト4・リンカネーション3・パーミッション4」を共通の採用枠として組んだものです。
①16bitsさん作成「全然前世」(水ブック)
外部リンク : カルドセプト部全然前世全然前世(ビギンズ)のブックです。作者: 16bits。
②16bitsさん作成「紫線の彼方」(風ブック)
外部リンク : カルドセプト部紫線の彼方紫線の彼方(ビギンズ)のブックです。作者: 16bits。
③ヨシさん作成「Z16スープラ」(火ブック)
外部リンク : カルドセプト部Z16スープラZ16スープラ(ビギンズ)のブックです。作者: ヨシ。
④稲村作成「エンジンとかけまして」(地ブック)
外部リンク : カルドセプト部エンジンとかけましてエンジンとかけまして(ビギンズ)のブックです。作者: 稲村。
⑤稲村作成「砂糖少々山一子の変」(火ブック)
外部リンク : カルドセプト部砂糖少々山一子の変砂糖少々山一子の変(ビギンズ)のブックです。作者: 稲村。
◎ギフトとリンカネーションを使用してブックを高速回転させながら、パーミッションを安定的に確保し、コンスタントに使用する(周回数を稼ぐ)
◎序中盤(1~12R程度)はギフトの効果を高めることを優先し、土地のレベルアップはなるべくしない
◎自力地変を交えながら、4連鎖以上を確保する
◎周回数をある程度重ね、達成に向けた準備が整った段階で、周回ボーナスを原資として1~2手で一気に増資・達成リーチをかける
理想的な動きの一つとしては
(1)5連鎖を形成し、周回ボーナスを獲得したタイミングで2600G以上の魔力を用意し、1個目のLV5土地を作る
(2)次のターンにシャドウリープなどの定点停止スペルを使いながら、2個目のLV5土地を作る
となります。
◎達成アクションをかけてから入城達成するまでの時間を短くすることで、干渉を挟む余地が生まれにくい
◎大量の周回ボーナスによる爆発的な増幅によって、干渉を受けてもリーチ阻止されないような状況(分厚いリーチ)を作りやすい
◎ギフトの出力を高く保つことが序中盤の挙動として無理なく行えるので、結果としてパーミッションを複数回使用して周回を短縮することができる
◎リンカネーション3枚の存在によって、ブックを高速回転させ、ギフトやパーミッションを安定して確保することができるため、ブックの想定するプレイングの再現性が高い(「1枚目のギフトを引けずにブックが回らなかった」というような状況がきわめて起こりにくい)
◎ドロー手段を手厚く確保しているので、様々なクリーチャーやスペルを各1枚ずつ採用し、場に応じて適合的なものを使うといった選択肢がとりやすい
ここで重要な点は「ギフトとリンカネーションを単に増やすだけでは、このような達成ムーブを取ることはできない(ブック構築とプレイング構築の統合が必要)」ということです。
どんなマップ・どんなブックにおいても機能する形では決してありません。またこの構築が最も強い(実戦で勝ちやすい)とも考えていません。ただし、シーダモにおいて
・パーミッションを使用した高速周回/ゲイン増幅に沿って
・通行料収入や6以上の連鎖及び領地数、高額地奪取などに依拠せず
・ドロー運に左右されず、確実性・再現性の高い自走達成を目指す
という視点に立つならば、現時点における構築論としては、最適解の一つといって差し支えないのではないかと私は考えています。
なお、対戦環境によっては別のゲーム力学が優先的に強く働くことも想定されますし、カウンター的な構築が成立する可能性も考えられるところです。
(例:ATの出せるクリーチャー・アイテムを手厚く採用し、LV1土地を全面的に制圧していくような動きをとるブックなど)
16エンジン構築は、パーミッションを安定的に引き、使用することを強く重視していますが、さほどドロー手段を搭載していないブックが、ダイス・ドロー運を味方につける形で、大きく先行加速するゲームも発生します。状況から判断して、増資を控えていても間に合わない可能性が高い場合などは、ゲームプランを切り替えて、自分も増資する(通行料収入に期待する)などの手を打つ必要があります。
LV1土地の防衛力を比較的確保しやすく、フェイトによってドローを更に補強できることは、水ブックの強みのひとつです。16エンジン構築においては、採用クリーチャーを分散させることで、場に応じて生存可能性の高いクリーチャーを選ぶという手が打ちやすくなります。
エルフ・ミルメコレオ・アルマゲドンを主軸にしたブック。スケアストームに対してエルフ、ファイアービークやシニリティに対してミルメコレオで受けることができ、場に応じた選択をとることができます。アルマゲドンを2回撃つ可能性をある程度現実的に見やすいことも強みの一つです。
火ブックの利点の一つであるAT要素を最低限確保した上で(なおこのブックにおいてはそこまで手厚く用意はしていません)、イビルブラスト+コンジャラーによる高額地奪取や、ピースによる連鎖維持、セフト3枚による有力なカードの奪取を見ています。
16エンジン構築における地ブックの利点は「援護による攻防性能を確保することで、アイテムを減らしやすい」「イビルブラストをセフトされても致命的な結果を回避することができる」などがあります。このブックはクイックサンド・シニリティ・クインテッセンス・アルマゲドン・イビルブラスト・フットレースを各1枚ずつ採用し、場に応じた干渉あるいは挟み込みコントロールを行うことを想定しています。どちらかといえば、同型(16エンジン構築の防御的なブック)と対戦した時にどう優位をとるか、という視点で作っています。
様々なゲームに対応しやすいよう、殆どのクリーチャーを各1枚ずつの採用とした上で、自分が大きく出遅れた場合や、同型のブックと対戦する場合に複数のゲームプランを選択できるように組んでいます。オプション要素としてのクイックサンドは、通行料収入・最終盤における足勝負・高額地陥落・侵略による連鎖形成・連鎖切りなど多面的な使い方を見ています。
ここで4属性それぞれのブックを紹介したように、16エンジン構築そのものは属性を問わず組むことができます。ただしそれぞれの属性の強み・弱みは異なりますので、16エンジンを下敷きとした構築においては、その属性で組むことの必然性を意識して組むことを、私としては大切にしたいと考えています。
16エンジンは、カルドセプトビギンズにおけるゲーム構造と、シーダモのマップ特性の両方に対して、統合的にアプローチしている構築成果であると私は考えており、今回こうして紹介させていただきました。
「16エンジン」という名前をつけるに至った経緯のひとつとして、私が前回投稿した記事に対して様々な反響をいただいたことが少なからず影響しています。
mizumachi88の記事READ:古書館について考える私が投稿したブックを、makosuさんやPAMELAさんがご自身の配信コミュニティで関心を持って取り上げてくださったこと、「稲村エンジン」という愛称をつけてくださったこと、様々なプレイヤーの方が派生的な構築を試みてくださったことを、私はとても嬉しく、また光栄に感じました。
前回の記事でも書いたように、私自身は結果としての勝敗にはあまり関心がありません。ただ、面白いゲームをしたいとは強く思いますし、カルドセプトビギンズのユーザーコミュニティにおいても、皆さんのブック・プレイング構築のアプローチや思考プロセスが、様々な形で共有され、カルドセプトの多面的な「おもしろさ」が一層広がったら素敵だなと思っています。勝っている人はもちろんすごいです。その上で、勝っていなくてもあなたのブック・プレイングはめちゃくちゃすごい可能性を秘めている!と私は思うわけです。
16エンジン、ぜひ使ってみてください!
森陽8時間前
素晴らしい記事をありがとうございます!
そして稲村エンジン愛用者の一人として、「16エンジン」公開に大感謝です。
先ほど、シーダモで稲村エンジン搭載本を回したところ、初めて11Rまでギフトを一枚も引かないという状況に遭遇しました(11Rに使用したリンカネでようやく引けました……)その試合は当然ながら惨敗。ホープかプロフェシーを入れようかと悩んでいたところでした。
早速、16エンジン試してみます!