READ:古書館について考える
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稲村です。主に3DS版から対人戦を始めました。以前は「むらさき」という名前でプレイしていました。どうぞよろしくお願い致します。
さて、カルドセプトビギンズ、めちゃくちゃ面白いですね!私も日々遊びまくっています。カルドセプトの世界は本当に奥が深く、相当プレイしても分からないことがたくさんあるのが素敵だなと思います。
最近はリーグ戦で使われている「古書館」をよくプレイしています。なかなか面白いブックが作れたので、古書館についての私見も交えて、解説を書くことにしました。
古書館の特徴としては
◎土地数が他マップと比べて相対的に少ない(一人当たり平均5つ)
◎一本道のマップである(ルート選択がしづらい)
◎砦が2つありリコールの使用機会が限られる(周回するために必ず通る土地が多く、土地ごとの通行料期待値に大きな差が生じにくい)
といった点が見られます。
これらの特徴を踏まえると、ごく序盤を除けば、ダイスを振って空き地に配置する機会は相対的に少なく、序盤の配置で出遅れた場合に、クリーチャー配置済みの土地を侵略などで奪う手段を用意する必要があると考えられます。
「クリーチャー数を多く確保し、なおかつ防衛力を高めることで序盤に先行配置して守り切る」というアプローチが全く成立しないわけではありませんが、カルドセプトビギンズのゲームバランス上、ギフト・キングバラン・ナイト・グレートタスカー・コローシブスピア・グレムリンアムル・スケアストーム等の存在によって、置き負けたプレイヤーが相手のLV1領地を侵略して奪うことは(瞬間的には)実行しやすいという点に留意する必要があります。
ここでおおむね明確に言えることは、土地を奪う手段の少ないブックは「殴られるが殴り返せない」ので、殴られたときに一方的に土地を失うことになるということです。
クリーチャー・アイテム・呪いで多層的に防御力を確保するアプローチも考えられますが、基本的には「ブック相性で勝負する」手法の一つと言えるでしょう。クリティカルな干渉(リフォーム・スケアストーム等)によって弱点を突かれたときにどうプレイするかということは考える必要があります(回答を用意していない場合、ゲームから脱落させられることになりやすい)。
したがって、ブック相性による有利・不利を念頭に置いた上であっても、「どんなブック相手、どんなゲームでもある程度勝負に絡める」ことを志向するのであれば、相応のAT要素もしくはダメージスペルによる土地奪取手段を用意し、なおかつ、相手からも殴られる(ナイト・バラン・タスカー・コロッサス等で上書きし合う)ことを、ゲーム構造の一部として受け止める必要があると(論理的には)考えられます。
こうしたゲーム構造を前提にすると、おおむね次のようなことが起こると考えられます。
◎12~15R程度の短時間ゲームにはなりにくい
◎ゲーム最終盤への影響の多寡が、プレイの判断基準となりやすい(「先行してLVを上げる」「今落とせなくても殴る」といった行動が、10R先にどう影響するか等)
◎「LV4~LV5の通行料」「LV4~LV5の高額地奪取」「リーチをかけてからごく短時間での入城達成」などによってゲームの勝敗が決定づけられやすい
◎25R経過しても誰も達成しないようなゲームでは、ダイス運やプレイ順が支配的な要素になりやすい
すなわち、これらの現象にどうアプローチするかという視点が、古書館の攻略においては不可欠であると私は考えています。
補足しておくなら、「ブック相性で勝負する」あるいは「特定の環境下で強力に機能する」タイプの構築を否定するつもりは毛頭ありません。可視化されている論理に基づく優位性、見えていない力学、実戦上の勝ちやすさ、人読みを含む限定的な対戦機会における強さ、対戦相手への要求プレイ難易度などはいずれも分けて論じられる必要があります。
私個人としては、いわゆるメタゲームにはあまり関心がありません(好みの問題でもあり、一定の環境における最適解を出すことに長けていないという話でもあります)。とはいえ、やるからには勝ちたいと思いますし、なにより自分自身が面白いと感じられる(さらに欲を言えば、対戦させていただく方にとっても面白いと感じていただける)対戦を実現できる機会が増えればいいなと思っています。
上述した点を踏まえて、私が作ったブックの一つがこちらです。
ありがとうは自分から(ビギンズ)のブックです。作者: 稲村。
【ブックの設計思想】
◎ある程度のロングゲーム(18~24R程度)となることを念頭に、終盤においてもリソース不足にならずに、能動的に(意思表示できる)プレイをする
◎どんな相手に対しても勝負に絡めることを目指す(相性負けで脱落しない)
◎終盤における逆転の一手を用意し、勝ち筋を増やす
◎多面的な機能を持ったカードや、終盤に強いカードをなるべく採用し、状況に応じたプレイ選択肢を広げる
【ブックの基本的な動き】
◎ギフトとリンカネーションによってブックを高速回転させながら、序中盤は積極的にLV1土地に侵略を行っていく。アイテムも保持しすぎず、有効に使えるタイミングで使う
(ブックの機能上、序中盤で3~4位をキープできていれば、12R~15R程度でブック1周できる。25Rまでプレイすると、ブック2周目のカードを30枚ほど引ける)
◎ネガティブ呪い(シニリティ・アンチエレメント・スケアストーム)を行使・保持して手順遅延と増資抑制を行いながら、最終形に向けたゲームプランを組み立てる
◎序中盤は盤面状況を意図的に傾けることを強く意識する。基本的にフラットな資産・盤面にしてはいけない。ギフトで大量にカードを引いてブック2周目の挙動を見ながら、リソース補給できる状況を維持する。アイテムはなるべく侵略に使いたい(そもそも基本的な防御性能は高くない)ので、状況・タイミングによって守れる時間帯を確保することも意識する
◎ブック相性や盤面から終盤の状況を想像しながら①特定の相手を先行させる(ギフトが機能しなくなってリソース不足に陥りやすい。ファインドは継続的なリソース補給には長けているが、最大25回しかないスペル機会の中で、手順進行に貢献しづらいのでおおむね気にしなくてよい)②殴れないブックを徹底的に殴ってゲームから半ば脱落させる などのプレイを、必要に応じて行う。ゲーム途中の順位そのものは、干渉先を決める判断基準には全くならない。最終的に自分が勝てばよい
◎荒れ場(殴り場・焼き場)は基本的に歓迎する。19~24Rあたりの終盤を意識しながら、高額地奪取や通行料収入のチャンスを作る
◎土地干渉の少ない守備的な場においては、自分が動いて荒れ場に持ち込むか、あるいは高額地を抑圧・牽制しつつ自分も走る
◎どんなゲームにおいても、自分から増資するとギフトの機能率が低下することを念頭に置いたプレイングを行う
◎リンカネーションは基本的にディスカードしてはいけない。特に15R以降はギフトより重要
◎ゲームを能動的に動かすことはできるので、あとは大量のプレイ選択肢の中で「状況に応じた正解」を当て続ければおおむね勝負に絡めると思われる
【ブックの各カードについて】
◎クリーチャーとアイテムは、リバイアサンを軸に、武器・道具で構築。防具は1枚もないので、アビサルモナークに対してはオニキス・ブラッドプリン・リバイアサン・ダゴン(応援を含む)で防衛する
◎キングバラン・ナイトはLV1侵略・ブラッドプリンの援護用を兼ねて採用。アイテムを使ってLV1~LV3領地を確定で落とせる点を重視し、コロッサスは不採用
◎ヒドラはスケアストーム耐性があり、グレムリンアムルを使って援護LV1を確定で落とすことができる。ダゴンの応援によりアビサルモナークの禁術にも耐えられる
◎プリズムワンドはパワーブレスレットにしても良いが、相手のコローシブスピアを受けられる点を評価。相手の水クリーチャーがコローシブスピアを持って攻めてくる状況は相対的に少ないと判断し、カタパルトではなくプリズムワンドにしている
◎当初はホーリーワード8とウォーターシフトを各2枚ずつ採用していたが、クリーチャー数を12枚に絞っていることもあり、序中盤でディスカードすることが多かったので、調整の結果、ウォーターシフト1枚のみとした
◎終盤における土地の狙い踏み・周回方向の切り返しのため、シャドウリープを1枚採用。領地アクション機会の確保・リーチから達成までの時間短縮のため、リコールを1枚採用
◎セフトは状況に応じて、必要なカードを補充したり、自分にとって不利なカードを消したりするために使う。クリーチャー侵略の対象はどうしても制御しづらい(ダイスに依存する部分が大きい)のに対して、スペルは任意の対象を選ぶことができるので、傾きのコントロールにも役立てやすい。行使しても手札枚数を減らさない(リンカネーションを機能させやすい)、魔力を意図的に減らして順位調整できるといった点も評価
◎カルドラは、定点停止・高額回避・通行料操作・魔力収入・魔力調整・焼きスペル対策・傾きのコントロールなど、きわめて幅広い用途に使える。撃つときに必ずしも自分の手持ち魔力を増やす必要はない。自分だけが多くの魔力を持っている状況で意図的に魔力を減らして、順位や場のリソースを調整するなどの使い方も視野に入れる
【その他】
◎観察事実としては、意外と「中盤までは」高額地を踏まない。この理由としては
・ネガ呪いで圧迫するので、高額地が乱立しづらい(交換の強要も含む)
・スケアストームやLV1全力パンチ(からのリソース補充)による手順遅延
・殴れない本は序盤で殴りまくって半分脱落状態にする
・セフトで適宜足スペルを補給できる
などによる影響が考えられる
◎実戦感覚として、基本的に25Rフルラウンドの勝負にしてはいけないと考える。このことは当ブックに限らず、あらゆるブックにおいておおむね言える。誰も達成しない混戦状況になると、最終盤で複数のプレイヤーがリソース不足に陥り、ダイス運やプレイ順によって勝敗結果が大きく変動する可能性が高い。したがって、序盤は遅延(時間稼ぎ)に動いた上で、遅くとも22R~24R頃までに自分が入城達成できる形を作るのが理想
◎このブックは基本的に、他の誰よりも多くスペルを撃ち、他の誰よりもブックを早く回転させる動きをとる。ゲーム中の選択肢が非常に多い反面、状況判断・選択を誤ると致命的な結果を導く(ゲームを壊してしまう)ことがある。選択肢が多いことはプレイ自由度の高さを意味しない。むしろ不自由であるといってもいい。不自由なゲームの中で、自分にも対戦相手にもプレイ負荷を高く要求しながら、意思の見える手を打ち、状況に応じた最善手を当てていく必要がある
◎プレイ負荷が高いので、使っているとカルドセプトが上手くなりそうな気持ちになれる(上手くなれるとは限らない)。とはいえ、ゲーム中の試行回数を増やしやすく、パワーカードを多数採用しているので、いくばくかのミスは結果的に回収できるという面もある
◎このブックの構築の下敷きとして、初期のロータリー検討における(特に遅延手段に関する)気づきもおおいに反映されている。下記リンクのブックコメントも併せて参照いただければなおありがたい
外部リンク : カルドセプト部助け合って生きる助け合って生きる(ビギンズ)のブックです。作者: 稲村。
上述してきたように、私の作ったブックは設計上、ゲーム中にブックを1周させ、ブック2周目にアクセスすることに強く意味を持たせています。とはいえ、かなり特殊な構築のひとつには違いないので、一般論として、古書館においてブックを1周させることの意味について考えてみることとします。マップの特性上、ドローに関してはおおむね次のようなことが言えると考えます。
◎他マップと比べて消耗戦になりやすい。序盤で失ったリソース(特に複数の機能を持ったカード)を補充したうえで、消耗戦を経た後のゲームプランを組み立てる必要がある。そのためにはドロー手段が必要
◎踏み・踏み対策(高額地奪取を含む)の要素がゲームを決しやすいので、終盤に強く機能するカードを引いてくる必要がある 。なお終盤の状況を打開する手段を搭載していないブックは、挙動は安定しているかもしれないが、勝ちきる/逆転するための強いアクションをそもそも取りづらい。同一のカードを3~4枚×複数セット採用したブックは、特定の環境において強力に機能することはあるが、ゲーム中に取れる選択肢が狭くなりやすい
◎相対的にロングゲームになりやすいので、積極的に2周目にアクセスすることで、1~2枚差しのカードをしっかり機能させることができる
◎ゲームが進むほど盤面は複雑化していくので、終盤における選択肢を盤面に応じて柔軟に選択できた方が良い 。【クリーチャー2・アイテム3・ファインド1の手札】よりも、【クリーチャー1・アイテム2・足スペル1・手札干渉1・呪い1の手札】の方が、終盤においては強いケースが多い
以上の理由によって、古書館で「どんなゲームでも勝負できる」ブックを作ろうと考えるなら、ブックを1周させることの効果は非常に大きいと考えられます。
この点を踏まえて、古書館におけるファインド・ギフト・リンカネーションそれぞれの特性を比較してみます。(ドロースペルは上記3つに限られるものではありませんが、ひとまずここでは、対戦で主に使われているこの3種をピックアップしています)
ファインド
◎「1位の状況でも使える」「量的なリソースの確保がしやすい」「クリーチャー・アイテムを積極的に行使する構築・プレイングと相性が良い」「序中盤のクリーチャー攻防における消耗戦を乗り切りやすい」といった点が優れています。
◎一方で「スペルターンを1回使って1枚しか引けないため、選択肢の拡張/ブック2周目へのアクセスに貢献しづらい」「ファインド以外のスペルの使用機会を減らすことになりやすいので、選択肢を狭めやすい」「ファインド自体が手札を圧迫する」「ファインドを2枚手札に揃えても機能させづらい」「強力なカードであるギフトと手札で重なったときに使いづらい」といった点が明確な欠点と言えます。
ギフト
◎「3~4位の劣勢の状況から、魔力・カードを一手で補充し、次の手を組み立てることができる」「手札の量と質の両立に貢献しやすく、序盤・中盤・終盤を問わず、選択肢を広げやすい」「アビサルモナーク等、手札コストを必要とする強力なクリーチャーを無理なく行使することができる」といった点が優れています。
◎一方で「1位の状況で機能率が極端に低下する」という点がネックとなります。序中盤で先行して走りきる/守りきるような構築とは非常に相性が悪いです。なお、序中盤で先行して走ることを前提にしている本は「自分だけ通行料期待値を高められる」「干渉が間に合わないうちに逃げ切れる可能性がある」という強みを有していますが、「選択肢が狭くなりやすい」「干渉が多い場で先行させられて集中砲火を食らいやすい」とも考えられます。
リンカネーション
◎「手札の枚数さえ確保しておけば、一手で2周目のアクセスに貢献する手段として最も有用である」「順位・盤面状況によらず、最大7枚引くことができ、状況を打開できる可能性が非常に高い」(ただし、選択肢を広げられるカードを一定以上ブックに搭載していることが必要)「クイックサンド・シニリティ等、強力であるが故に警戒されやすいカード、セフト等の手札干渉の対象にされそうなカードを強制的にディスカードすることで、干渉の矛先を逸らし、盤面の進行を促すことができる」「手札枚数が多いほど強力なので、ギフトともファインドとも相補的に働く」といった点が優れています。
◎一方で「撃つ時点で現在の手札を捨てる必要があり、引いた後から手札の取捨選択をすることができない」「撃った後の手札が、自分にとってより有用なものになるとは限らない」「2枚以上のコンボパーツを両方揃えるのには適さない」「撃った時点では手札枚数を増やすことはできない」といった点がネックとなります。
したがって「ある種の環境下における勝ちやすさ」「プレイ難度」は分けて考えた上で、古書館において「どんなゲームでも勝負できる」ブックを作ろうとするのであれば、ファインドまたはギフト(あるいはその両方)を採用した上で、リンカネーションを1枚以上入れた方が良いのではないかというのが私の暫定的結論です。
ドロースペルの選択においては(リンカネーションの評価については特に)「個人の考え方や好みによる」という着地点が置かれることが多いように感じられます。無論、そういう側面があることを否定するものではありませんが、マップによって、どのようなゲームになりやすいか、どのような現象が起こりやすいかは異なります。それぞれのマップにおいて生じやすいゲーム構造を汲んだうえで、その構造に対して適合的なブック構築及びドロースペル選択を図ることを、私としては大切にしたいと考えています。
この記事の執筆時点で、私はカルドセプト部のリーグ戦(古書館)で9戦5勝しています。ただしこの事実は、上述してきた内容の信頼性・妥当性を判断する材料には一切ならないものだと私自身は考えています(もちろん、解釈の自由は読んでくださった方にあります)。
好成績・高勝率を出しているプレイヤーの皆さんに最大限のリスペクトを表した上で申し上げると、「結果としての勝敗」とは切り離されたところにおいても、カルドセプトの「おもしろさ」が拡張されるような発信・コミュニケーションが広がっていくと、私としては一層嬉しく思います。
カルドセプトビギンズ、めっちゃ面白い。引き続き対戦よろしくお願いいたします!
(8/20投稿,8/21細かい誤字を修正)
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