城への帰り道を描く力 ー「帰還する知」で防ぐ城帰還困難症ー
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皆さん、本日はご参加いただきありがとうございます。ファシリテーターを務めます、ひでちゃんです。
これまで私たちは、どうすれば早く8,000Gへ到達できるのか、そして、到達後にどう城へ帰るのかを考えてきました。
一方で、実戦では予定していた帰還手段を失うこともあれば、
城への到着に合わせて最後の増資を行うこともあります。帰還までの道筋は、必ずしも一つではありません。
では、目標魔力への到達から城への帰還まで、私たちはどのようなシナリオを描いておくべきなのでしょうか。
本日は、この問題を「城帰還困難症」という視点から捉え直します。
まずは城還一先生に、その発症過程と予防に必要な「帰還する知」についてご講演いただきます。
その後のパネルディスカッションでは、トップランナーの皆さんとともに、「帰還する知」が実戦にどのような可能性をもたらすのかを考えていきます。
この記事では、城還一先生による基調講演の模様を、当日の記録とともにご紹介します。
(城 還一)
ただいま、ご紹介にあずかりました、城でございます。本日は、『城への帰り道を描く力――「帰還する知」で防ぐ城帰還困難症――』と題して、お話しさせていただきます。
なんだか難しそうなタイトルですね(笑)。でも、それほど難しい話ではありません。
よく「家に帰るまでが遠足」といいます。これは、カルドセプトも同じです。8,000Gに到達しても、城へ帰るまでは勝利ではない。このことは、カルドセプトをプレイされる皆さんであれば、よくご承知のことかと思います。
ところが実戦では、8,000Gに到達した瞬間に勝利を確信し、その後の帰還に苦しむ「城帰還困難症(CCRD)」を発症する患者さんが後を絶ちません。
本日は、その発症過程と予防について、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
(城 還一)
講演に入る前に、「そもそも、ここに立っている人は誰なんだ」と思っていらっしゃる方がたくさんいらっしゃると思いますので、簡単に自己紹介をさせていただきます。
私は、帰城大学帰還科学部で教授を務めるかたわら、城帰還クリニックの帰還外来で、城帰還困難症(CCRD)の診療にあたっています。
専門は、城帰還困難症の早期発見と、目標魔力到達後の帰還支援です。残念ながら気管支炎は専門ではございません(笑)咳や痰にお困りの方は呼吸器内科など、専門の先生にご相談いただければと思います。
また、これまでの研究の主な成果として、『家に帰るまでがカルドセプト――リボルト勢に発症した城帰還困難症の一例――』という論文をしたためました。本日の講演も、この症例研究を出発点としています。
ちなみに、学生時代は帰宅部でした。いま振り返ると、私が帰還の問題に関心を持った原点は、すでにこの頃にあったのかもしれません(笑)。
趣味は城巡りと経路検索です。目的地へどう帰るかを考えることは、仕事でも私生活でも変わりません。
それでは、城帰還困難症とはどのような疾患なのか、まずはその定義から見ていきましょう。
(城 還一)
このスライドでは、『城帰還困難症(CCRD)』について、ご説明します。セプターの皆さんにも、ぜひご自身の経験として想像していただければと思います。
せっかく8,000Gに到達したのに、城までの距離が遠い。そうしているうちに、ほかのプレイヤーに足で負け、先に城へ帰られてしまう。皆さんも、こうした場面を一度は経験されたことがあるのではないでしょうか。
実は、これは『城帰還困難症』と呼ばれる疾患です。その発症過程は、このスライドに示している4つの段階に分けられます。
Phase1は、潜伏期です。
本来は帰還にも使えるHW8などの足スペルを、連鎖の形成や周回速度を確保するために使用していきます。この時点では、患者さん本人にも目立った自覚症状はありません。
Phase2は、発症期です。
ほかのプレイヤーに先んじて8,000Gへ到達したことで、『これは勝った』という勝利確信や高揚感が生じます。ここでは、8,000Gという数字を超えた瞬間の、あの気持ちの高ぶりを想像してください。
Phase3は、帰還困難期です。
8,000Gに到達したにもかかわらず、手元に足スペルがない。あるいは、城まで20歩以上離れている。ここで初めて、帰還経路を十分に確保していなかったことが明らかになります。
そしてPhase4は、急性増悪期です。
リコールを奪われる、連鎖を切られるなどの干渉によって、帰還手段や勝利条件を失います。その結果、ほかのプレイヤーに先に城へ帰られ、「あのときHW8を使わなければよかった」という遅発性後悔が現れます。
このように、目標魔力への到達後、城への帰還に時間を要し、その間に勝利機会を逸してしまう。一連の症状が認められる場合、城帰還困難症を発症していると考えられるのです。
いかがでしょうか――
城帰還困難症は、経験や実力に関わらず、すべてのセプターが発症しうる疾病です。決して、一部の患者さんだけの問題ではありません。
本日お越しいただいた皆さんも、この疾患が決して他人事ではないということがお分かりいただけたのではないでしょうか。
(城 還一)
では、城帰還困難症を予防するためには、どのような考え方が必要なのでしょうか。
本日、私から提示したいのが、「帰還する知」という考え方です。
「帰還する知」とは、目標魔力への到達から城への帰還まで、複数のシナリオを想定しながら進める実践的な判断です。城帰還困難症の発症と重症化を防ぐ、予防医学の基本となる考え方でもあります。
まず、緑色で示しているのは、これまで主に論じられてきた領域です。
早期に8,000Gへ到達し、リコールなどの帰還手段を行使して、そのまま城へ帰る。これは、早期到達と帰還手段を組み合わせた、分かりやすい勝利のシナリオです。
しかし、帰還手段を持っていない、あるいは途中で奪われてしまった場合には、8,000Gへ到達しても、すぐには城へ帰れません。帰還までの時間が長くなれば、侵略によって連鎖を切られ、目標魔力を下回る危険も高まります。これが、黒色で示した「城帰還困難症」の発症リスクです。
そこで、青色で示した領域まで考え方を広げてみましょう。
城までの距離や手札、周囲のセプターの状況を踏まえ、城への到着に合わせて増資する。
あるいは、複数の帰還手段を用意し、一つを失っても別の経路へ切り替えられるようにする。単に早く8,000Gへ到達するのではなく、到達と帰還を一体として考えるわけです。
また、複数の帰還手段をあらかじめ備えておくことは、リコールの喪失や、ほかのセプターによる干渉に対する免疫の獲得につながります。あるいは、城までの距離が遠い、帰還手段が不足しているといった初期症状を早期に把握し、足スペルやリコールを適切な時期に服薬する。必要に応じて増資の時期や帰還経路を見直す。こうした早期介入によって、帰還困難の進行を抑えることができます。これは、連鎖を切られて目標魔力を下回る、あるいは勝利機会そのものを失うといった急性増悪を防ぐうえでも有効と考えられます。
ただし、この図は、緑色よりも青色の進め方が優れていることを示すものではありません。帰還手段を確保したうえで早期に8,000Gへ到達できるのであれば、それは現在でも有効な勝利のシナリオの一つです。条件が整っているにもかかわらず、あえて到達を遅らせる必要はありません。
大切なのは、一つの勝ち方に固執しないことです。盤面や手札、城までの距離、ほかのセプターから受ける干渉を踏まえ、その時点で最も帰還可能性の高い道筋を選ぶ。城へ帰るまでのシナリオを複線的に描き、状況に応じて選び直していく。この実践的な判断こそが、城帰還困難症を予防する「帰還する知」なのです。
(城 還一)
ここまで、城帰還困難症の発症過程と、その予防医学としての「帰還する知」についてお話ししてきました。
本日、皆さんにお持ち帰りいただきたいメッセージは、ひとつに集約されます。
「8,000Gへの到達は、ゴールではありません。」
城へ帰るまでの複数のシナリオを描き、状況に応じて選ぶこと。そして、その判断を支えるのは、セプター一人ひとりが経験を通じて培ってきた知恵です。それこそが、城帰還困難症を防ぐ「帰還する知」なのです。
しかし、この知を実際のプレイにどのように取り入れ、発症予防や患者支援につなげていくのかについては、まだ議論すべきことが残されています。
「帰還する知」は、城帰還困難症をどのように予防するのか。そして、帰還に悩む患者さんを、私たちはどのように救うことができるのか。
ここからは「帰還する知」をキーワードに、城帰還困難症の予防と支援のあり方について、トップランナーの皆さんのお考えを伺いたいと思います。私自身、どのような議論になるのか楽しみにしています。
ご清聴いただき、ありがとうございました。
次回は、トップランナーの皆さんを迎えて行われたパネルディスカッションの模様をお届けします。
城帰還困難症をどのように予防し、実戦のなかで「帰還する知」をどう働かせるのか。それぞれの経験に基づく議論を、当日の記録とともにご紹介する予定です。
公開まで、しばらくお待ちください。